◆全国高校ラグビー第1日 ▽1回戦(30分ハーフ) 高知中央35―17山形中央(27日・花園ラグビー場) 開会式に続き、1回戦8試合が行われ、元日本代表ロックの大八木淳史GM(50)率いる高知中央(高知)が山形中央(山形)に35―17で勝ち、創部5年目で花園初勝利を飾った。高知県勢の勝利は、98年の土佐塾以来13年ぶり2勝目。東京(東京2)は萩商工(山口)を38―0で下し、出場5大会連続で初戦を突破。大分舞鶴(大分)は青森北(青森)に7―34で敗れ、出場した大会での連続初戦突破記録が28で止まった。

 雑草軍団が歴史的勝利をもぎ取った。ノーサイドの瞬間、大八木GMはすかさず携帯を取り出し、喜びに沸くフィフティーンをカメラに収めた。「1勝まで長かったですねえ」。190センチの大きな体を揺らし、成長した教え子たちに目を細めた。

 過去3回の花園で大敗した姿は、もうない。開始1分だ。センター別役総太がノーホイッスルトライを決めると、BK、FW関係なく生き生きとボールを動かし続けた。相手に流れが傾きかけた9点リードの後半12分には、プロップの佐藤祐歩が勝利を引き寄せるトライ。174センチ、91キロの背番号1は「この日のために1年間やってきた」と目を潤ませた。

 佐藤は三重・稲生高3年の花園予選3回戦敗退までラグビー部に所属。引退後に引きこもりになって卒業できず、4月に高知中央に編入した。規定で地方大会は出場できなかったが、花園に出場することが生活すべてのモチベーションになった。19歳は「試合前に大八木さんに『FWが負けたら試合は負け』と言われ、気合が入った」と胸を張った。

 創部当初は「落ちこぼれの受け皿」(大八木GM)が目的だった。今も進学校出身や他競技で挫折を経験した選手、野球部から転部してきた中国人留学生など入部動機はバラバラだが、4年前との違いは全員がラグビーが好きなことだ。花園1勝にGMは「ミッションは終えたかな」と今年度限りの退任も口にした。

 大きな一歩だ。県勢として13年ぶり、初出場の70年度大会から数えて2勝目をようやく手にし、梶山修平監督(27)は「勝つ喜びを知ることができた」と頬を紅潮させた。次は明和県央(群馬)戦。創部5年目の赤い台風が、県勢初の2勝も貪欲に狙いにいく。

 ◆出場可能選手 規定では、その年度で19歳になる選手まで出場可能。ただし、同一学年で同大会に出場できない。佐藤は3年間、三重県大会に出場し高知県大会の出場資格はなかったが、高体連ラグビー専門部では各地区予選と全国大会を別と見なしており参加できた。

 ◆来年は中学指導者 大八木氏が新たな夢を披露した。「(地元の)阪神間で仕掛けたい」と説明し、来年度からは芦屋大付属の芦屋中に創部されるラグビー部の監督に就任する見通し。「公立の中学にも刺激になってくれたら…」と若い世代の育成に取り組む。一方で高校ラグビー界については「あらゆる格差がある中で同じようにやっていては、ラグビー人口が増えない」と課題を口にしていた。

 ◆大八木 淳史(おおやぎ・あつし)1961年8月15日、京都市生まれ。50歳。京都・伏見工でラグビーを始める。同大では大学選手権3連覇、85年に入社した神戸製鋼では89年以降の日本選手権7連覇に貢献。日本代表は30キャップ。97年に現役引退。05年から同大大学院総合政策科学研究科へ進学し、07年から同研究科博士課程在籍中。同年3月に高知中央高ラグビー部GMに就任。190センチ、112キロ。

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